2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

8つの扶助、それぞれの解体・編み直し案

それでは、解体・再編対象課題とされた、8つの扶助がどうなるか、整理したものを確認ください。 1.「生活扶助」は、・高齢者・障害者への「国民年金制度」における「年金支援給付」・求職者への「求職者支援給付」を除いて、一般扶助による「生計扶助」を…

最近の日経介護関連記事から読み解く、2022年以降の介護政策課題-2

有料老人ホームでは、入所者3人につき、少なくとも1人の職員を配置する現行の基準を見直し、1人で4人に対応できるようにする案。 特別養護老人ホーム(特養)では、個室と共有スペースを組み合わせた「ユニット型」施設の収容基準である1ユニットあたり10人…

生活扶助の配分や条件を決めるべき「私たち」とは一体誰か、どのように決めるのかを問う

貧困解決において中心的な手段は所得保障である。日々の暮らしのお金が足りないのに、サポートや自立支援ばかり強調するのはいい加減にすべきだ。社会扶助は、貧困解決のために、もっと使えるように、社会保険や社会手当と組み合わせて、柔軟に配置したほう…

IT、DX、介護テック。呼び名が変わって介護現場の生産性は上がったか、省人化は実現したか

人口の多い「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者に到達し、介護ニーズの急増が想定される「2025年問題」。人手不足や施設不足に対する懸念が高まるなか、新興勢などが事業者の業務効率化を図るべく「介護テック」で現場を支える。 少し手を加えたが、こんな…

「生活保護基準」としての「生活扶助基準」とその改定方式の妥当性

結局、現在の生活保護制度における<生活扶助>基準は、生活保護基準を意味しているわけで、それが適切かどうか、定期的検証されに、改定が行われているわけです。 改定のための「検証」方式 検証は、「標準世帯」で行い、多様な世帯に当てはめるべく、年齢…

車椅子生活の特養入所者が、外来診療が必要な場合どうするか

一昨日1月23日の日曜日に、満100歳の義母が入所する特養から電話。 以前骨折し、手術をせず保存治療という何も特に施さない(一応)、自然治癒をめざす方法を選択し、車椅子生活になり要介護4と認定変更で、サ高住から特養に転所。 その骨折部位の近くでの…

生計扶助の解体・編み直し案のまとめ

この見出しのようなタイトルはついていないのですが、最後に位置づけた、実は最も基本となる<生活扶助>の解体・編み直しをこのように筆者は整理しています。1)年金支援給付(高齢者・障害者向け)2)求職者支援給付3)一般扶助による「生計維持給付」 …

エネルギーコストと供給をめぐる2022/1/21日経記事から考える長期エネルギー政策ビジョン-2:国内事情編

1日に、エネルギー関連記事を、拾っただけでも6つも掲載した日経紙。 各記事情報を取材し、署名した記者諸兄は、それらを総合して評価し、俯瞰的に問題を整理し、政策提言に持ち込んでくれるのでしょうか。 情報収集と発信にいかにコストと能力を費やして…

遺族基礎年金の「ひとり親世帯等基礎年金」への転換提案

少子化対策なども想定しつつ、筆者は児童手当の増額の必要性を主張してはいます。 それとは別に、現状、生活保護利用世帯のうち就学者を抱えている世帯の7割が母子世帯であることから、母子世帯の支援策としての生活保障の、生活保護の外部化を主張します。…

グリーン水素と蓄熱発電

もう一つの狙い、原発を使って、ゼロ・カーボン実現の鍵となる水素の生産を拡大し、水素の覇権を手中におさめる野望が透けてみえる。 2022年が明けてすぐの元旦、EUの欧州委員会は、持続可能な経済活動を分類する「タクソノミー」で原子力を脱炭素に貢献する…

【1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障】から:医療扶助・介護扶助解体と編み直し案

一つの前提は、「自立助長」という現制度に反映されている方針は、一応排除していること。 社会扶助は、あくまで生活最低限を下回るような状況を放置しないために仕掛けられた所得保障制度で、貧困のある状態を許容せず、貧困をなくすことに狙いを定め、それ…

都市生協における消費者と生産者の結びつき

次にイメージできるのは、やはり都市部を中心に強く根付いている生活協同組合の組織化・ネットワーク化。 共同購入や組合員宅への配達は、消費者と生産者との結びつきを重視し、前提とした「食と農」の生活として定着し、現在の多種多様なローカル・フードシ…

自助、共助、公助をめぐる議論

一般的に例えられる、社会保険の「共助」性、社会扶助の「公助」性が財源面から導き出されることになります。 この課題について、著者は、「保険と扶助は共に互恵的なもの」「社会保険は対価的というより、はじめから社会的賃金」としています。 これは、既…

『日本の食と農の未来』から考える-3

ローカル型コミュニティとテーマ型コミュニティ 一般的には「地域で支える農業」「地域支援型農業」と訳されるCSA。 そのコミュニティには、以下のローカル型とテーマ型があるとします。 1)ローカル型:物理的な範囲のコミュニティで、市区町村等の行政単…

社会保険と生活保護の関係性からの解体視点

「国民皆保険・皆年金」体制と生活保護の関係、また「国民皆保険・皆年金」内部で拡張していった低所得者対策に焦点をあて、もう一つの社会扶助としての意味を明らかにしていく。 こう語り始めているこの章は、社会保険のなかの国民健康保険と国民年金につい…

『日本の食と農の未来』から考える-2

・農業就業人口とは1)自営農業のみに従事した者2)自営農業以外の仕事に従事していても年間労働日数で自営農業が多い者・基幹的農業従事者とはそのうち普段仕事として主に自営農業に従事している者 この続きは増える新規就農形態と広がる有機農業の課題:…

運営・運用の二重原則と着目すべき課題

上記の構成で示された・申請保護/職権保護・世帯単位/個人単位(世帯分離)・ 基準表/必要即応・非現実的な「すべて現物給付」と、生活保護の概要を突き合わせると二重原則が並立・併用されていることがわかります。 筆者はこれを、概ね反対のやり方を併…

グローバル・フードシステムを見直すべき時代:『日本の食と農の未来』から考える-1

グローバル・フードシステムを前提とすることは、自ずと食と農を海外依存とからめて論じることになりますし、食料自給率が低い日本も例外なく、そこに組み込まれているわけです。 またグローバル・フードシステム視点では、斎藤幸平氏のベストセラー『人新世…

『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-2

生活保護は、社会保障の一手段である社会扶助制度。 社会保険のように社会保険料の納付(拠出)を条件とし、一定特定のリスクに対して現金やサービス給付を行うのではなく、多様な原因で生じた「今、貧困である」状態に対して、租税から給付を行なう手法。 …

岩田正美氏著『生活保護解体論』:勝手に新書-5

昨年2021年12月中旬から読み始めたがなかなか進まず、年が明けて1月第1週になんとかなぞるように読み終えた岩田正美氏に拠る新刊書『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』(2021/11/5刊:岩波書店)。 今回は、同書を推薦・紹介します。 生活保護…

濱口桂一郎氏著『ジョブ型雇用社会とは何か』:勝手に新書-4

いつも利用しているネットショップで、長く欠品だった 濱口桂一郎著 『ジョブ型雇用社会とは何か ー正社員体制の矛盾と転機』(2021/9/17刊・岩波新書)。 ようやく、年が明けて1月2日に発注し、5日に手元に。 昨日9日から読み始めました。 同書はベスト…

小口広太氏著「『日本の食と農の未来』から考える」シリーズ、始めます

昨年12月後半にシリーズとして投稿した、鈴木宣弘氏著『農業消滅 農政の失敗が招く国家存亡の危機』(2021/7/15刊・平凡社新書)を参考にした農業政策考察シリーズが、リンクして紹介したTwitterでリツイートされるなど、想像以上に多くの方々にお読み頂きま…

『生活保護解体論』 を用いる目的及び方針

当サイト提案の日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金(以下、BP)が、究極的には、現状の生活保護制度のレベルの社会保障機能を上回る質・内容を持つものとし、さまざまな制度上の問題・課題を抱える生活保護制度を必要のない…