2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』シリーズを終え、結婚・非婚・単身をめぐる検討・考察へ

この後の計画として、少子化と関連する未婚・非婚・結婚問題を取り上げ、1)やはり山田昌弘氏による著『結婚不要社会』(2019/5/30刊)を題材にした考察2)『パンデミック以後 米中激突と日本の最終選択』(エマニュエル・トッド氏著:2021/2/28刊))によ…

コロナ感染拡大・長期化で妊娠届数大幅減少、出生数80万人割れ、少子化・人口減少加速

厚労省が5月25日発表した人口動態統計によると1~3月期の出生数(外国人含)は19万2977人と前年同期比9.2%減。2020年度年間では前年度比4.7%減の85万3214人。 妊娠を控えた人が多かった原因は、コロナの妊婦や胎児への不透明な影響、出産時に立ち会いができ…

山田昌弘氏提案の少子化対策とは?:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-4

そもそも少子化対策などすべきではない、必要ない、という意見もある。 結婚や出産は個人的なものだから、国は介入すべきではないというもの。 あるいは、個人のために国が金をかけるべきではない、とか。 しかし、「結婚したい、子どもを持ちたい」と思う人…

少子化の主因、リスク回避と世間体意識変革は可能か:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-3

リスク回避要因に加え、「世間体を保つ」ことが重視されるという日本社会に特有の意識を指摘します。 その根幹は、身近な人たちから「下に見られたくない」「マイナスの評価を受けたくない」という意識であり、世間体の正体・基準となる意識と言えるでしょう…

夫婦・親子をめぐる欧米中心主義的発想が失敗の理由か:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-2

本当に、結婚や子どもを持つことについて、多くの人々が、子どもの成人後の将来にまで、親としての責任意識を持っているのか。 甚だ疑問です。 確かに、現代の生涯未婚率の高さ、8050問題など社会問題とされる状況を考えると、その不安を抱くことは理解でき…

結婚・子育ての経済的側面タブー化が少子化対策失敗理由:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-1

1)「未婚化が主因」であることを見逃した過ち 結婚した夫婦の子どもの数が減っているわけではないとし、婚期は遅れても「いずれは皆、結婚する」と考えて、未婚化を問題視していなかった。2)結婚や子育ての経済的側面をタブーにしていた過ち 「どんな条…

2004年提起の『希望格差社会』がコロナで『新型格差社会』に

「格差社会」という用語を初めて用いたのが山田昌弘氏自身。実質的に2004年に書かれた『希望格差社会』の内容は、そのまま今現在を写し取っていたというべきもの。そして最後に「公共的取り組みの必要性」を提起して締めくくっていたのです。まあ、「公共的…

紙一重の右と左の国家主義:『いまこそ「社会主義」 』から考える社会経済政治システム-3

緊急時だけの備えとしてでなく、日常の課題として認識し、その歯止めとなる社会システム、政治システムを形成し、その考え方を浸透させ、非常時・緊急時には、望ましい対応ができるよう備えておく必要がある。これがなかなか難しいところで、熱さ忘れれば、…

生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)

この理想とする法律の施行には、当然配慮すべき重要な事項があります。 一つは、これまで社会保障制度を考える上で常に課題とされてきた財源問題です。 本法は、従来のこの問題の解決の障害になっていた要素を、新しい方法・方針を採用することで改善・解消…

社会主義の多様性・多義性を知っておこう:『いまこそ「社会主義」 』から考える政治経済社会システム-2

固定観念ができていての忌避感・拒絶性と言えなくもないかもしれませんが、社会主義は好みません。その最大の理由は、「自由」と「平等」に関する考え方にあるような気がしています。こういう観念的・情緒的な課題については、突き詰めて考えてもしようがな…

消費格差の本質は所得格差。ベーシック・ペンションが必然の対策:『新型格差社会』から考える分断・格差抑止のBI論-5

固定化、階層社会化を危ぶんだ「新型格差社会」とは、一体何をさしていたのでしょうか。家族、教育、仕事、地域という視点から論じてきた格差社会の根源的・根幹的要因とその克服策は、何だったのか。消費の質を最後の課題にしたことで、消失・消滅してしま…

格差拡大の暴走を制御できない資本主義:『いまこそ「社会主義」 』から考える政治経済社会システム-1

私が、右翼・保守が夢想する、公的権力主義と新自由主義とが合体した国家共同体に与しないのは、当然です。と同時に、平等の名のもとに個々人を収めさせるコミュニズム、社会主義共同体にも、その身を委ねる気にはなりません。的場氏はこう言います。 かつて…

ベーシック・ペンションは多機能! 「地域格差」対策にも有効なベーシック・ペンション:『新型格差社会』から考える分断・格差抑止のBI論-4

地域格差も、本質的には、地域内における貧富の格差、地域間での格差両面が課題として存在します。しかし、根っこを手繰れば、これまでの家族格差、教育格差、仕事格差、そして今回の地域格差すべて、個人個人間の所得格差に発するもの。それらが複合的・複…

資本主義脱却でも描けぬ理想社会:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-4

「自由」や「平等」。そして「幸福」。資本主義に成り代わる何かは、果たして、自由・平等・幸福を保障してくれるのか。そもそも、このテーマを、本書の中に組み入れる目的・意義は、具体的・現実的にどの程度あるのか。多様性が、当事者を軸に考えると、単…

「仕事格差」対策としてのベーシック・ペンション:『新型格差社会』から考える分断・格差抑止のBI論-3

エッセンシャルワーカーとは、日常生活において「必要不可欠な仕事(エッセンシャルサービス)」に携わる職業・職種に就く人。例えば、医療・介護福祉、スーパーや薬局など小売業、運輸業・公共交通機関、ごみ収集員・郵便配達員、役所職員など。特定の時間…

政治に殺される! 宝島社、2021年5月11日付日経掲載政府批判全面広告から

ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戰えというのか。このままじゃ、政治に殺される。 私たちは騙されている。この一年は、いったい何だったのか。いつまで自粛をすればいいのか。我慢大会は、もう終わりにして欲しい。ごちゃごちゃ言い訳するな。無理…

政治に殺される! 宝島社、2021年5月11日付日経掲載政府批判全面広告から

ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戰えというのか。このままじゃ、政治に殺される。 私たちは騙されている。この一年は、いったい何だったのか。いつまで自粛をすればいいのか。我慢大会は、もう終わりにして欲しい。ごちゃごちゃ言い訳するな。無理…

信用創造廃止と貨幣発行公有化で、資本主義と社会はどうなるのか:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-3

現状の1)社会から乖離する貨幣の創られ方、を起点にして考えてみると2)中央銀行の独立とは銀行界の言いなりになること、であり3)国債を中央銀行が買う政府支出はヘリマネと同じ、であり4)国債を民間で持たせる政府支出ではなぜだめなのか、が分かり…

「教育格差」対策としてのベーシック・ペンション:『新型格差社会』から考える格差・階層社会化抑止のBI論-2

1980年時点で8割を超えていた、日本社会に根付いていた「中流意識」が、1990年頃以降次第に崩れ、格差化を推し進めてきたものが、コロナで更に加速し、固定化・階級社会化に行き着いてしまう。その問題意識と観点から具体的な事例を示していきます。その中流…

知らなかった、民間銀行の信用創造による貨幣発行益濡れ手で粟:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-2

民間銀行の信用創造を廃止し、100%準備制度を導入し、中央銀行だけ、あるいは国だけが貨幣を発行できる制度にするとどうなるのか。そこでは「資本」という概念自体がなくなるのか?その道筋を描くことで、本書のテーマである「資本主義からの脱却」が可能に…

「家族格差」拡大・加速化対策としてのベーシック・ペンション:『新型格差社会』から考える格差・階層社会化抑止のBI論-1

家族問題を軸にした社会問題をこれまで取り上げ、パラサイト・シングルや婚活などの用語を用いて問題提起してきている山田昌弘氏が、コロナ禍で加速する格差を、新しい型とした新著『新型格差社会』(2021/4/30刊)を書き表しました。 以下の5つの種類に区…

知っていましたか民間銀行がお金をただで創る特権を持っていることを:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-1

そもそも銀行には、お金を創る特権があると聞けば、「なぜだ!?」と思うのが自然・当然。そんなことは露知らず、ほとんどの人は、銀行をの日常生活での利用や、銀行で働く人が、恵まれた給与を得ていることに羨ましくは思いつつも、さしたる疑問も抱かずに…

脱成長コミュニズムというユートピアは実現可能か:『人新世の「資本論」 』が描く気候変動・環境危機と政治と経済-4

既に25万部が販売されたという『人新世の「資本論』。 最後は、ほとんど、情緒・情感に訴える表現で終わることになった感が強い新マルクス論。マルクスの復権・復活を期しても、過去の歴史におけるコミュニズムの呼びかけとさほど変わらない感覚としか受け止…