経済

権力の支配手段としてのお金の正体:公共貨幣論から考える-5

権力と支配の質的転換 ここまでの論述では、権力の支配の主体が、銀行にあることに重点を置いてきています。その手段が、民間の中央銀行と部分準備銀行制度であったとしているわけですが、ここに至るまでに巧妙に進化してきたと話を進めます。それが「金が金…

部分準備銀行制度と債務貨幣システム

信用貸出、信用創造を現状可能にしているのは、違法行為からではなく、れっきとした「部分準備銀行制度」という法律で規定されているからです。こうして無から創られた預金、要求払預金は、利息付きで貸し出されたものであり、政府といえども民間が創り出す…

『公共貨幣』「第Ⅰ部 債務貨幣システム」<第3章 日本銀行は必要か>より

・山口薫氏著『公共貨幣』(2015/9/24刊・東洋経済新報社)・山口薫氏・山口陽恵氏共著『公共貨幣入門』(2021/10/12刊・集英社インターナショナル新書)を参考にして「公共貨幣」論のベーシック・ペンションへの組み込みの可能性と方法等を考える<「公共貨…

4つの機能を持つ貨幣、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」「日本銀行法」:公共貨幣論から考える-2

現在日本国内で流通しているお金は、次の3種類。1)政府貨幣(百円玉等の鋳貨、コイン)2)日本銀行券(千円札等)3)預金(銀行の預金口座にある信用のデジタル数字)この3種類で、財やサービスの交換、支払い決済・決算が行われるが、1)2)が現金…

<「公共貨幣」論から考えるベーシック・ペンションと社会経済システム>シリーズ開始にあたって

◆ この社会経済システム改革に必要な何かがまだ描けていない。山口薫氏著『公共貨幣』『公共貨幣入門』:勝手に真剣書ー17(2022/6/3)で紹介した・山口薫氏著『公共貨幣』(2015/9/24刊・東洋経済新報社)・山口薫氏・山口陽恵氏共著『公共貨幣入門』(20…

インフレ率2%達成の鍵は、格差解消の決定打「ベーシックインカム」である理由

こんなテーマでの小論が、ほぼ1年前の8月、ダイヤモンド・オンラインで配信されました。⇒ インフレ率2%達成の鍵は、格差解消の決定打「ベーシックインカム」である理由 | 山崎元のマルチスコープ | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp) 今回急に、経済…

トラクターをFCV(Fuel Cell Vehicle)水素燃料電池車に

トヨタのFCVはなかかな広がりを見せていません。最大のネックの一つが、水素燃料を補給する水素ステーション設置の高コストと普及台数の少ないこと。相互に関係している要因なので、どこかの時点でブレイクスルーことも、現状ではイメージできない。そうした…

忘れられていた異次元金融緩和政策に基づく2%物価上昇目標が、5月、いとも簡単に実現

ウクライナ侵攻がそうした現実に拍車をかけ、日本においては、あの、長く掛け声だけであり、その責任論も有耶無耶になっていた物価上昇率2%という目標が、いとも簡単に実現してしまいました。基本的には、各種資源と原料・原材料、製品・商品の需要と供給…

山口慎太郎氏著『子育て支援の経済学』:勝手に新書-7

今月初め、https://2050society.com に ◆ 2021年の出生数約84万人、死亡数約145万人、人口減少数初の60万人超:2021年人口動態統計速報値(2022/3/2)と題した記事を投稿しました。少子高齢化社会の進行は、高齢化により減少する出生数を遥かに上回る死亡数…

ベーシック・ペンション導入によるインフレリスクと対策を考える:ベーシック・ペンション実現へのヒント-3

過剰流動性の発生がインフレの一因となるとされています。すなわち、現在アメリカ・バイデン政権によるバラマキが、インフレを招き、FRBが引き締めに入っている状況がその端的な事例です。バラまかれたカネで購買意欲が高まり、求人も増え、労働力不足により…

都市生協における消費者と生産者の結びつき

次にイメージできるのは、やはり都市部を中心に強く根付いている生活協同組合の組織化・ネットワーク化。 共同購入や組合員宅への配達は、消費者と生産者との結びつきを重視し、前提とした「食と農」の生活として定着し、現在の多種多様なローカル・フードシ…

DX、進めれば進めるほどクラウドサービスへの支払いで経常赤字増の日本の脆弱性

構造改革という言葉を用いることが適切とは思わないが、要は、今後もクラウドサービスのニーズは、国内に限っても拡大し続けることは間違いないはず。 であるならば、そのための供給体制の整備・拡充を、半導体事業と並んで、国家プロジェクトとして、産官学…

賃金停滞をもたらすと憶測可能な定性的要因

2小論の中に、憶測レベルでの賃金停滞要因が、少しはありました。 それも含めて、賃金停滞の定性的要因と思われるものを、以下にメモしてみました。 1)正規雇用者比率・数の低下・減少と非正規雇用者比率・数の増上昇・増加2)高齢者雇用延長に伴う現役…

コロナ禍、多くのアジア諸国のインフレ無縁の理由と日本の特殊性

昨日2021年12月1日付日経に、日経グループ企業でもある英国Financial Times 紙2021/11/26掲載の アジア・エディター ロビン・ハーディングによる「インフレ無風のアジア」というタイトルの記事が載った。 短い記事だが、分かりやすく翻訳されており、興味深…

愛知県の県民割、「あいち旅eマネーキャンペーン」を利用

県民割とは、都道府県などが域内での旅行費用や飲食等消費購買費用等を住民に補助する制度。 苦境が続く旅行業界の救済や停滞する消費の活性化を目的とした、国によるGoTo トラベルの地域版といえるこの県民割。 特徴は、当然、実施都道府県に住む住民だけが…

具体性がない、薄い主張・反対意見展開の「論説」の重さはイカほど?

資本主義の在り方を議論することは、今に始まったものではなく、延々と続けられてきている。 現在は、資本と富の寡占化・集中、格差の拡大が昂じたことによる「行き過ぎた資本主義」がグローバル社会における共通命題になっているわけだ。 この続きは「「新…

「新しい資本主義実現会議」と関連する多種類の組織構成

「新しい資本主義実現会議」は、菅義偉政権下による「成長戦略会議」を廃止し、その機能を取り込んだと日経。 確かに、岸田政権のスローガンの一つは「成長と分配」だから、成長が必須課題。 その新しい「新しい資本主義実現会議」は、一体どう機能させるの…

政府構想の介護職・保育職賃上げ方法

政府の考えでは、1)まず、(早ければ)来年2月から一定期間の賃上げ分を交付金として一括支給する。 申請手続きを必要とするため、実際に本人に支給されるのは来年春以降になる見通し。2)2022年度後半からは、介護事業所などが受け取るサービスの対価に…

外資系半導体企業の国内進出に補助金は、経済安全保障に叶った政策か?

先月10月上旬、以下の記事を投稿した。◆ 半導体、産業のコメから産業と社会経済生活の心臓へ:2050年半導体自給自足国家実現へ(2021/10/4) その記事の最後に、当サイトが掲げる[国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題]における「産業資…

GDPや経済学者を信じるな!?:リトガー・ブレグマンの『隷属なき道』ー5

本書の中で、最も私が評価したい章が、この章です。 現在のベーシックインカム論において、その支給総額を考える時、インフレを懸念する議論が比較的重要になっています。 その総額が、GDPのどの程度の比率を占めるかが問題とされているのです。 私も、ベー…

岩田規久男氏による「21世紀の日本経済の課題」:当サイト2050年長期社会経済政策比較

初めに岩田氏は、現実の格差拡大は、ジニ係数では説明できない問題に起因するとし、特に、非正規社員の大幅増加に象徴される雇用の二極化がもたらしたとします。 それを辿ると、1990年代以降の日銀の失策が招いた、ディスインフレを経由してのデフレ化及びそ…

脱炭素、グリーントランスフォーメーション(GX=緑転)4つの課題

緑のルールのスタンダード策定の主導権は、既にEUにあることは動かしがたい事実。 日本がそこに一定のプレゼンスを得るには、今後の運用とスタンダードの見直し・修正に、公平な立場で関わり貢献すること、と認識し、行動することが望ましいと思います。 国…

経済政策 2050年長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題

1.自給自足経済政策 (基本方針) コロナパンデミックで経験した物流・人流の停止等の経験、また国家間の力学的な問題等から想定すべき、経済の安全保障ニーズに基づき、まずその基本である国内で還流・循環する自給自足経済の確立を目指し、確実に実現し…

ベーシック・ペンション導入によるインフレリスク対策-1:ベーシックインカム現実的実現法考察-5

先に種々のインフレ発生要因を見ましたが、実際のインフレ及びハイパーインフレは、なにか一つだけの単独要因で発生・進行するものではなく、複数の要素・要因が関連関係し、複合的に伝搬・拡大・継続するものと考えます。 そこで、その要因とされるリスクの…

当サイト2050society.com の2021年下期カテゴリー変更:コロナ禍で構築すべき国家ビジョンと長期政治行政改革計画-2

山積する政治課題は、東京オリンピック・パラリンピックで何かが改善・解決されるものではまったくあり得ないことは自明。 その異常な祭り以前に積み重ねられてきた、劣化した政治行政がもたらしてきた悪政やさまざまな社会問題は、その祭りの間も、コロナ禍…

ベーシックインカムでなくベーシックサービスで人を救えるか:金子勝氏著『人を救えない国』より-2

社会的排除の理由がさまざまなのに、所得だけに注目して一律に現金を給付しても貧困がなくならないことはいうまでもない。 それゆえ、その人の「ニーズ(必要)」に合わせて問題を解決するためには、生活圏である地域において当事者に寄り添う対人社会サービ…

見えない分散革命ニューディール実現の政治的シナリオ:金子勝氏著『人を救えない国』より

冒頭、金子氏は、新型コロナウイルスの大流行がこれまでの産業や社会システムに大きな影響を与えていくとし、その大きな変化の底流として、今、産業や技術の大転換期にあることを提示。 その中で、以下の3つの技術が軸になっていることを強調します。1)歴…

日本独自のベーシック・ペンションを社会的共通資本のモデルに:社会的共通資本とベーシック・インカム-2

前回◆ 社会的共通資本とは:社会的共通資本とベーシック・インカム-1(2021/6/8)で、宇野弘文氏(故人)が提起した『社会的共通資本』とはどういうものか、どういう考え方で構成・構築しているものかを確認しました。 そこでは、以下の3種類に社会的公共…

社会的共通資本とは:社会的共通資本とベーシック・インカム-1

宇野弘文氏が提起する「社会的共通資本」の定義と特徴について、以下に抽出しました。 1)一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にする…

格差拡大の暴走を制御できない資本主義:『いまこそ「社会主義」 』から考える政治経済社会システム-1

私が、右翼・保守が夢想する、公的権力主義と新自由主義とが合体した国家共同体に与しないのは、当然です。と同時に、平等の名のもとに個々人を収めさせるコミュニズム、社会主義共同体にも、その身を委ねる気にはなりません。的場氏はこう言います。 かつて…