環境・エネルギー

『公共貨幣』「第Ⅰ部 債務貨幣システム」<第6章 国の借金はなぜ増え続けるのか>より

まずこれまでの大きな経済危機発生時のその折々に国が採った財政政策、プライマリーバランスを改善すべく採用され、繰り返された消費税と消費増税、そして禁じ手とされた異次元の金融緩和策をもってしてもそれらが機能しなかった歴史の再録とその要因を示し…

トヨタが牽引する、水素社会につながる技術開発と実証・実用化

2050年までに、グリーン水素エネルギーを主電源とするエネルギーの自給自足国家実現を提案している当サイト。現状では極めて困難と予想されていますが、種々の領域での水素化及び水素活用技術の開発が進められ、いずれ起きると期待されるイノベーションが、…

トラクターをFCV(Fuel Cell Vehicle)水素燃料電池車に

トヨタのFCVはなかかな広がりを見せていません。最大のネックの一つが、水素燃料を補給する水素ステーション設置の高コストと普及台数の少ないこと。相互に関係している要因なので、どこかの時点でブレイクスルーことも、現状ではイメージできない。そうした…

生活保護世帯の子どもの進学率に地域格差:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-2

2019年、2020年の調査では、全世帯の中に占める生活保護世帯の進学率は ・上位の東京都や大阪府が両年度とも40%超・最下位は2019年度が山形県の16.7%、2020年度が長野県の11.1%。・首位と最下位の格差は、前者は2.8倍、後者が4.1倍に至った。・全世帯進学…

自由主義・強権主義政治体制の分断化が促すエネルギー転換方法の変化

2022年に考える、日本の2050年エネルギー・資源社会への道筋-4 本文から分かるように、受け入れ基地の確保・新設による対策を含め、ロシア産天然ガスの代わりとなる供給先の確保も行うわけで、一方通行的に化石燃料使用期限を先延ばすという捉え方は正確で…

単純に、脱化石燃料・脱炭素化の困難性による原発回帰を持ち出すべきではないエネルギー不安対策

2022年に考える、日本の2050年エネルギー・資源社会への道筋-3 【2022年に考える、日本の2050年エネルギー・資源社会への道筋】シリーズを、後述する「ダニエル・ヤーギン著『新しい資源地図』から考える、2050年日本のエネルギー・資源戦略」シリー全4回…

2022年に考える、日本の2050年エネルギー・資源社会への道筋-2

高まるエネルギー不安-1:欧州よりロシアに影響は深刻 初めは、2022年4月22日掲載のニック・シッター中央ヨーロッパ大学教授の小論です。 ロシアのウクライナ侵攻は欧州のエネルギー市場に不可逆的な変化をもたらした。戦争がどんな結末になろうと、欧州…

ダニエル・ヤーギン著『新しい資源地図』から考える、2050年日本のエネルギー・資源戦略-4

予言・警告どおり、2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、プーチンの都合の良い思い込みとは裏腹に今なお、先が見通せない困難な状況が続いています。自由主義・民主主義国家群対強権・専横主義国家群との一層の分断と衝突の様相を、まさにエネル…

習近平・中国の野望、多様な背景にある中東のエネルギー戦略事情:ダニエル・ヤーギン著『新しい世界の資源地図』から考える、2050年日本のエネルギー・資源戦略-2

今回は2回目で、<第3部 中国の地図>と<第4部 中東の地図>を取り上げます。 ヤーギンがまず描く中国の地図は、2つの国で世界のGDPの約40%、軍事費の約50%を占める、非公式のグループ構成概念、G2。もちろんそれは、米国と中国のグローバル社会に…

米国の新しい地図と古い地図に戻そうとするプーチン・ロシア:ダニエル・ヤーギン著『新しい世界の資源地図』から考える、2050年日本のエネルギー・資源戦略-1

別サイトで◆ すべての国会議員が読むべき書。ダニエル・ヤーギン氏著『新しい世界の資源地図』:勝手に新書-9(2022/5/2)という記事で、ダニエル・ヤーギン氏著、黒輪篤嗣氏訳の『新しい世界の資源地図 エネルギー・気候変動・国家の衝突』(2022/2/10刊…

再生エネ発電のムダ排除、緊急時地域間送電確保等のためにも送配電網の国有化を

送電網基盤は、国内事情限定的であり、いわば、政府のやる気しだいだ。方法は唯一つ。社会的共通資本である電力の送配電網事業の国営化である。現状ある施設は、国が2030年までに買い上げる形とし、不足する設備・システム等は、利用する電力各社の出資と国…

グリーン水素社会実現に向けてのエネルギーシステム改革

WEBサイト「2050 SOCIETY」2020年3月投稿記事紹介-6 先日、当サイト管理者 Ohno Haruo 大野晴夫が、2020年4月開設のサイト https://2050society.com 。その開設の事情・経緯に関する記事◆ WEBサイト「2050 SOCIETY」2年前2020年4月開設の経緯(2022/2/2…

グレー水素、ブルー水素がグリーン水素に変わるまで

脱炭素、脱原発、脱政策をめぐる動向から 2021年、遅ればせながら、珍しく、高らかに脱炭素宣言を行った前・菅政権。とはいっても、その実現への工程表が具体的に描いてのことではなく、いわば、ウケを狙ったスタンドプレーのそれ。岸田政権がこれを受けて、…

供給不足がもたらす各種原材料高が招く製品値上げと社会経済不安

この現象は、多くが供給不足に起因するとされる。しかしその要因は多様であり、資源囲い込み、脱炭素をめぐる天然資源エネルギー投資の減退、国際情勢不安に伴う輸出入抑制、関連しての物流問題・労働力問題などと相互に結びつく。こうした国々の一部、トル…

エネルギーコストと供給をめぐる2022/1/21日経記事から考える長期エネルギー政策ビジョン-2:国内事情編

1日に、エネルギー関連記事を、拾っただけでも6つも掲載した日経紙。 各記事情報を取材し、署名した記者諸兄は、それらを総合して評価し、俯瞰的に問題を整理し、政策提言に持ち込んでくれるのでしょうか。 情報収集と発信にいかにコストと能力を費やして…

グリーン水素と蓄熱発電

もう一つの狙い、原発を使って、ゼロ・カーボン実現の鍵となる水素の生産を拡大し、水素の覇権を手中におさめる野望が透けてみえる。 2022年が明けてすぐの元旦、EUの欧州委員会は、持続可能な経済活動を分類する「タクソノミー」で原子力を脱炭素に貢献する…

斎藤幸平氏著『人新世の「資本論」』紹介・考察シリーズ記事案内

Amazonの新書ランキングを見ると、発刊以来1年以上立つけれども未だに売れ続けている斎藤幸平氏著『人新世の「資本論」』(2020/9/17刊・集英社新書)。 既に累計40万部以上売れているようです。 この書をテーマに、今年4月・5月に https://2050society.c…

Z世代は気候変動問題に関心、日本は関心度低下。安易な世代論を排して考える世代別クオータ制

2021/11/17日経記事◆<第4の革命 カーボンゼロ>グリーンポリティクス(2)Z世代が迫る脱炭素 若者20億人の奔流を読んでのメモを。 世界に20億~25億人存在し、世界人口の3割を占めるとい1990年代半ば以降生まれの「Z世代」。米ピュー・リサーチ・センター…

COP26 石炭火力廃止46ヵ国合意に対し、資源乏しいこと理由に日本不参加の恥

英国で開催の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)。石炭火力発電所の廃止を提唱する議長国・英国の声明に、46ヵ国が同意したが、日本はしなかった。英国は、風力発電への取り組みが功を制しており、自信満々での提案だった。一方日本は、第6次…

営農型太陽光発電が促す農業・食料政策、電力エネルギー政策の統融合

営農型太陽光発電とは、農地に支柱を立てその上に太陽光パネルを設置して発電し、固定価格買い取り制度(FIT)などでの売電収入を得、同時にパネルの下で農業を営み、収入を得る。すなわち営農と発電の副業・兼業システムと言えよう。台風などにも耐える強度…

ohnoharuo.com の先週記事リスト

10月12日(火)大した覚悟も方法論も持たずに政策発表し前言を即取り消す岸田首相。野党はそれを批判するといういつもの景色で始まった国会、すぐ解散10月13日(水)UAE2050年温暖化ガス排出ゼロ、EU北極圏化石燃料開発禁止:環境エネルギーを巡る多様な動き…

UAE2050年温暖化ガス排出ゼロ、EU北極圏化石燃料開発禁止:環境エネルギーを巡る多様な動き

EUが、北極圏の石油と石炭、ガスを「地中にとどめておく」として化石燃料の開発停止を表明。取り組みを世界に広げ、同地域の開発や燃料購入を禁じる多国間の法的枠組み作りの協議を始めるという。 EUは、当然ながら、2050年に域内の温暖化ガスをゼロにする目…

脱炭素、グリーントランスフォーメーション(GX=緑転)4つの課題

緑のルールのスタンダード策定の主導権は、既にEUにあることは動かしがたい事実。 日本がそこに一定のプレゼンスを得るには、今後の運用とスタンダードの見直し・修正に、公平な立場で関わり貢献すること、と認識し、行動することが望ましいと思います。 国…

国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題

国土・ 2.電力・エネルギー自給自足による安全保障・維持・開発管理 (基本方針) 気候温暖化・自然環境破壊などがもたらす国民生活、各種事業活動上の不安・悪影響を抑止し、将来に向けて持続可能な電力・エネルギー自給自足体制の整備、安心・安全を保障…

見えない分散革命ニューディール実現の政治的シナリオ:金子勝氏著『人を救えない国』より

冒頭、金子氏は、新型コロナウイルスの大流行がこれまでの産業や社会システムに大きな影響を与えていくとし、その大きな変化の底流として、今、産業や技術の大転換期にあることを提示。 その中で、以下の3つの技術が軸になっていることを強調します。1)歴…

資本主義と左派加速主義批判の後に来る脱成長コミュニズム:『人新世の「資本論」 』が描く気候変動・環境危機と政治と経済-3

『人新世の「資本論」 』(斉藤幸平氏著:2020/9/22刊)に絞ってのシリーズを始めています。今回の3回目は、第5章<加速主義という現実逃避>、第6章<欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム>を対象として、既存の左派批判と真のターゲットである資本主義大…

なぜ今マルクスか、「人新世のマルクス」:『人新世の「資本論」 』が描く気候変動・環境危機と政治と経済-2

マルクスの辿っだ道は、以下であると筆者はしています。 1.生産力至上主義 1840年代~1850年代 2.エコ社会主義 1860年代3.脱成長コミュニズム 1870年代~1880年代 一般的なマルキシズムとして理解されているのは、この<エコ社会主義>までのこと。3…

移動手段変革による生活変化とカーボンゼロ・イノベーション

中国・上汽通用五菱汽車、2020年発売の大人気小型EV「宏光ミニ」は、約46万円 米GMと上海汽車集団などの合弁、上汽通用五菱汽車が、2020年7月発売小型EV「宏光ミニ」。その販売台数が、9月に米テスラの主力小型車「モデル3」を追い抜いた。売りは、航続距離1…

小型炉原発に検討の余地が?電源構成とカーボンゼロ・イノベーション

1月6日の日経紙特集記事のテーマは、<進化の道変えた原発 小型炉に浮かぶ「現実解」>でした。 そこで見たのは安全性が高いとされる小型原子炉の開発と実用化が進められているというものでした。 例えば、米国の2017年スタートアップ企業、ニュースケール…

水素社会、IoE(インターネット・オブ・エナジー)実現とカーボンゼロ・イノベーション

石油メジャー英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが中核となる欧州最大級の水素事業「NortH2(ノースH2)」。 ノースH2は洋上風力でグリーン水素を作り、40年に800万~1千万トンのCO2排出を削減する。これは、グリーンの製法で、緑色の水素と呼ばれている。2030年…