社会問題

子どもの貧困対策としての「児童手当」制度か?

基本的に、財政規律主義、税と社会保障の一体改革に従っての子育て支援策・少子化対策を、誠実に、突きつめて考察する柴田氏は、そのためには相当の財政出動が不可欠とみ、社会保障の拡充には経済成長が条件とする立場です。ですから、ベーシックインカムを…

経済成長主義に基づく子育て支援政策の限界:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-4(総括)

日本を含め世界各国で多様・多面に展開されてきた「育休制度」や「保育改革」の実証分析や効果評価は、当然のように、一色に染められた結果を導き出してはおらず、却って、政策の選定・決定が難しいことを示すことになっています。それはあたかも、EMBPとは…

親にとって子育ては次世代への投資か?:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-2

「子育て支援は、次世代への投資」。これは決して、子どもを持つ、あるいは子どもを持ちたいと思う親の気持ち・心情・想いを表現したものではないでしょう。まあ、一部の封建的・家父長制的感覚をいまだに抱く親が、将来子どもが親の面倒をみるものと思って…

現金給付・育休制度で出生率は向上するか:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-1

今回からは、前回に続き、同類書である山口慎太郎氏『子育て支援の経済学』(2021/1/20刊・日本評論社)『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(2019/7/30刊・光文社新書)を用い、同様に<山口慎太郎氏「子育て支援論」…

子育て・保育の本質から考えるべき政治行政と財政政策:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-5(総括)

子育て政策の効果を前提としたために、経済政策としての子育て支援論になってしまった感が否めない本書。具体的な子育て政策課題については、解説書として発行された新書『子育て支援と経済成長』の<第5章 子育て支援の政策効果>に関連する記述を読み取る…

増税・財源確保の子育て支援政策のムリ筋:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-4

<第9章 政策効果の予測値>から これを受けて、第3章から第8章まで、個別政策に関する仮説・検証作業を経て、最後にそれら社会保障政策(=変数)が及ぼすとみられる効果を、具体的数値予測化したのが本章です。筆者は、社会保障政策と表現していますが…

柴田悠氏著『子育て支援は日本を救う』『子育て支援と経済成長』から考える子育て・少子化対策論-3

少子化対策への関心度の低さ 随分機械的で無機的な仮説検証作業とその結果、という印象を抱くのは、柴田氏自身が、出生数の減少・少子化対策を子育て支援の枠内に位置付けてはいないのでは、と思わせられるからです。 例えば、非婚化・晩婚化がもたらす出生…

保育サービス支出総額だけの統計論のムリ筋:子育て柴田悠氏「子育て支援論」から考える-2

今月初めに、投稿したブログ◆ 柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う』『子育て支援と経済成長』:勝手に新書-8(2022/5/1)で、柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う(政策効果の統計分析)』(2016/6/25刊・勁草書房)『子育て支援と経済成長』(2017/2/28…

ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-4

「生活福祉資金の特例貸付」とは この制度は2020年3月にスタートした、無子・保証人不要の貸付金制度で、元来あった「緊急小口資金」と「総合支援資金」の貸し付け条件を大幅に緩和。 社会福祉協議会(社協)職員が面談して収入や返済計画を確認していたも…

ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-3

健康保険の違いによる子どもの受診日数の違いと所得格差 健保には、大企業の社員などが入る組合健保、公務員などの共済組合、自営業者や非正規労働者らの市町村国保などの種別がある。ここでも、未就学児の受診日数に違いがあり、市町村国保の受診は2021年以…

地域包括児童ケアセンターの設置と児童福祉司配置を:『ヤングケアラー』『子ども介護者』からの基本認識と課題・対策-3

ヤングケアラー学校調査の種類と調査情報 先述の【<ヤングケアラー問題を考える>シリーズ】<2.日本におけるヤングケアラー学校調査から>において組入れる予定の学校調査は、2冊で取り上げている1)南魚沼市(2015年):市内公立小中・特別支援学校26…

『ヤングケアラー』『子ども介護者』からの基本認識と課題・対策-2

澁谷智子氏著『ヤングケアラー―介護を担う子ども・若者の現実』(2018/5/25刊・中公新書)を発行から既に4年近く経っていますが、読み始めました。もう1冊、同じテーマの近著、濱島淑惠著『子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁』(2021/9/10刊・…

ヤングケアラーとは:『ヤングケアラー』『子ども介護者』からの基本認識と課題・対策-1

澁谷智子氏著『ヤングケアラー―介護を担う子ども・若者の現実』(2018/5/25刊・中公新書)を発行から既に4年近く経っていますが、読み始めました。この後、濱島淑恵氏著『子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁』(2021/9/10刊・角川新書)を続いて…

8つの扶助、それぞれの解体・編み直し案

それでは、解体・再編対象課題とされた、8つの扶助がどうなるか、整理したものを確認ください。 1.「生活扶助」は、・高齢者・障害者への「国民年金制度」における「年金支援給付」・求職者への「求職者支援給付」を除いて、一般扶助による「生計扶助」を…

ビル・ゲイツもスティーブ・ジョブスも自分の子どもにはスマホもタブレットも持たせなかった:堤未果氏著『デジタル・ファシズム』から

非常にインパクトがある、というか、衝撃的であり、突き動かされる内容の新刊新書を読み終えました。 堤未果氏著『デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える』(2021/8/30刊・NHK出版新書)です。 本書を、何回かに分けて当サイトで取り上げて紹介…

ヤングケアラーとは

昨日2021/11/21に「親ガチャ」というコトバが広まっていることを知ったことから以下の記事を投稿。◆ 親ガチャ、マルトリートメント、ヤングケアラー:子どもを主体とする支援センターの必要性(2021/11/21)その親ガチャの一つの現実例・現実問題を示す用語…

親ガチャ、マルトリートメント、ヤングケアラー:子どもを主体とする支援センターの必要性

「どんな親を持つかで人生が決まってしまう」ということを意味する「親ガチャ」。 確かにそういう側面が人によってはないわけではない。 NPO法人「POSSE」の代表である今野氏は、誰よりも多くの子どもの雇用・貧困問題などに関わってきている。 親の子に対す…

岩田規久男氏提案「21世紀の日本経済の課題」評価:『「日本型格差社会」からの脱却』からー2

1.アベノミクスを評価するが、不明瞭な自民政権の経済財政政策批判 前回、日本格差は、日銀の誤った金融政策に拠る、デフレの長期化が発生原因と岩田氏はしていることをお伝えしました。 但し、それは、現状の黒田総裁下における長期に渡る大胆な金融緩和…

当サイト2050society.com の2021年下期カテゴリー変更:コロナ禍で構築すべき国家ビジョンと長期政治行政改革計画-2

山積する政治課題は、東京オリンピック・パラリンピックで何かが改善・解決されるものではまったくあり得ないことは自明。 その異常な祭り以前に積み重ねられてきた、劣化した政治行政がもたらしてきた悪政やさまざまな社会問題は、その祭りの間も、コロナ禍…

母子・父子世帯の貧困と子育て家庭環境の改善をもたらすベーシック・ペンション:BP法の意義・背景を法前文から読む-5

生活保護受給要件を満たすけれど申請せず、困窮した生活を送っている人々の典型的な例が、母子世帯・父子世帯と言われています。 その世帯の多くは、育児の負担や家族資源の乏しさから、労働時間に制約を受け、やむなく非正規職として働かざるをえない状況に…

エマニュエル・トッド氏が見る日本の少子化対策問題

山田昌弘氏著の『結婚不要社会』(2019/5/30刊)を取り上げて投稿した記事◆ 結婚不要社会と結婚困難社会の大きな違い:『結婚不要社会』から考える(2021/6/3)を受けて、今回は、エマニュエル・トッド氏と朝日新聞の3記者とのインタビューからの書き起こし…

2004年提起の『希望格差社会』がコロナで『新型格差社会』に

「格差社会」という用語を初めて用いたのが山田昌弘氏自身。実質的に2004年に書かれた『希望格差社会』の内容は、そのまま今現在を写し取っていたというべきもの。そして最後に「公共的取り組みの必要性」を提起して締めくくっていたのです。まあ、「公共的…

消費格差の本質は所得格差。ベーシック・ペンションが必然の対策:『新型格差社会』から考える分断・格差抑止のBI論-5

固定化、階層社会化を危ぶんだ「新型格差社会」とは、一体何をさしていたのでしょうか。家族、教育、仕事、地域という視点から論じてきた格差社会の根源的・根幹的要因とその克服策は、何だったのか。消費の質を最後の課題にしたことで、消失・消滅してしま…

「仕事格差」対策としてのベーシック・ペンション:『新型格差社会』から考える分断・格差抑止のBI論-3

エッセンシャルワーカーとは、日常生活において「必要不可欠な仕事(エッセンシャルサービス)」に携わる職業・職種に就く人。例えば、医療・介護福祉、スーパーや薬局など小売業、運輸業・公共交通機関、ごみ収集員・郵便配達員、役所職員など。特定の時間…

政治に殺される! 宝島社、2021年5月11日付日経掲載政府批判全面広告から

ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戰えというのか。このままじゃ、政治に殺される。 私たちは騙されている。この一年は、いったい何だったのか。いつまで自粛をすればいいのか。我慢大会は、もう終わりにして欲しい。ごちゃごちゃ言い訳するな。無理…

「家族格差」拡大・加速化対策としてのベーシック・ペンション:『新型格差社会』から考える格差・階層社会化抑止のBI論-1

家族問題を軸にした社会問題をこれまで取り上げ、パラサイト・シングルや婚活などの用語を用いて問題提起してきている山田昌弘氏が、コロナ禍で加速する格差を、新しい型とした新著『新型格差社会』(2021/4/30刊)を書き表しました。 以下の5つの種類に区…

1年前の今日初めて提案主張した「ベーシック・インカム制の導入を!」

1年経過した今。コロナは未だ収束する兆しは見えず、むしろ第4波として、三度目の緊急事態宣言が発出されるかどうか、という状況にあります。従い、ベーシックインカム導入を主張する人たちは、1年前と変わらず、特別定額給付金の再度の支給を要求し、そ…

カウンター・デモクラシーとは:私たちにもできる民主主義とベーシック・ペンション実現をめざす暮らし

この「人の支配」に代わるべき「法の支配」については、少々懐疑的です。なぜならば、現在の司法では、再審制において異なる法判断が示されることがあまりにも多いこと、冤罪を免れることもそう簡単ではないこと、などがあるゆえです。法を作るのが「人」な…

BI、社会保障、エネルギー、農業、メディア。10年、20年スパンで取り組むべき社会課題

白書の特徴の一つは、2040年を一応想定した記述を含んでいることです。これは、当ブログサイトが方針とする2050年の望ましい社会創造を目標としていることと関係していることで、厚労省の意識の程度(の低さ)が明らかになることに注目です。個々のテーマと…

2020年人口動態調査に見る、少子高齢化・人口減少社会:日本の人口1億2427万1318人

減少する生産年齢人口 15~64歳の生産年齢人口は日本人全体の59.3%。3年連続で6割を切り、過去最低を更新している。働き方改革で、さまざまな手が打たれているようには見え、高齢者や女性の労働参加・労働継続を盛んに推奨してはいるが、どれも決め手にはな…