国土・資源

高齢者適用年齢の引き上げで問題は解決するのか

2022年7月20日から22日までの3日間、日経<経済教室>で「参院選後の岸田政権の課題」いうテーマで3人の学者の小論が掲載された。このところ、先般の2021年人口動態統計結果を踏まえて、出生率低下・少子化対策について、やはり日経<経済教室>掲載小論等…

供給不足がもたらす各種原材料高が招く製品値上げと社会経済不安

この現象は、多くが供給不足に起因するとされる。しかしその要因は多様であり、資源囲い込み、脱炭素をめぐる天然資源エネルギー投資の減退、国際情勢不安に伴う輸出入抑制、関連しての物流問題・労働力問題などと相互に結びつく。こうした国々の一部、トル…

エネルギーコストと供給をめぐる2022/1/21日経記事から考える長期エネルギー政策ビジョン-2:国内事情編

1日に、エネルギー関連記事を、拾っただけでも6つも掲載した日経紙。 各記事情報を取材し、署名した記者諸兄は、それらを総合して評価し、俯瞰的に問題を整理し、政策提言に持ち込んでくれるのでしょうか。 情報収集と発信にいかにコストと能力を費やして…

『日本の食と農の未来』から考える-3

ローカル型コミュニティとテーマ型コミュニティ 一般的には「地域で支える農業」「地域支援型農業」と訳されるCSA。 そのコミュニティには、以下のローカル型とテーマ型があるとします。 1)ローカル型:物理的な範囲のコミュニティで、市区町村等の行政単…

『日本の食と農の未来』から考える-2

・農業就業人口とは1)自営農業のみに従事した者2)自営農業以外の仕事に従事していても年間労働日数で自営農業が多い者・基幹的農業従事者とはそのうち普段仕事として主に自営農業に従事している者 この続きは増える新規就農形態と広がる有機農業の課題:…

小口広太氏著「『日本の食と農の未来』から考える」シリーズ、始めます

昨年12月後半にシリーズとして投稿した、鈴木宣弘氏著『農業消滅 農政の失敗が招く国家存亡の危機』(2021/7/15刊・平凡社新書)を参考にした農業政策考察シリーズが、リンクして紹介したTwitterでリツイートされるなど、想像以上に多くの方々にお読み頂きま…

農協改革問題の根源及び本質、あるべき形

本章の最後に、農協が迫られる改革の本質について筆者の考えを確認し、その後私の思うところを少し添えたいと思います。 一部の利益が集中しないように相互扶助で小農・家族農業を営む農家や地域住民の利益・権利を守り、命・健康、資源・環境、暮らしを守る…

DX、進めれば進めるほどクラウドサービスへの支払いで経常赤字増の日本の脆弱性

構造改革という言葉を用いることが適切とは思わないが、要は、今後もクラウドサービスのニーズは、国内に限っても拡大し続けることは間違いないはず。 であるならば、そのための供給体制の整備・拡充を、半導体事業と並んで、国家プロジェクトとして、産官学…

現在食料自給率38%、2035年の衝撃的予測と必要対策 :鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-1

このところのグローバリズム批判の軸にある行き過ぎた資本主義がもたらすさまざまな格差と分断。 いわゆる新自由主義の考え方と行動と一致する農業問題であるが、これが人の生活の基礎である食料と直結しているが故に、こうした弊害と切り離して長期的な視点…

仮想通貨Worldcoinでベーシックインカム構想のプロジェクトを考える

WIRED誌の2021/11/12号に、GIAN M. VOLPICELLI 執筆、 MADOKA SUGIYAMA氏 訳による「仮想通貨「Worldcoin」は、ベーシックインカムを実現できるか | WIRED.jp」と題した記事が掲載されている。 当サイトで提案する日本独自のベーシックインカム、ベーシック…

鈴木宣弘氏著『農業消滅 農政の失敗が招く国家存亡の危機』:勝手にしん・せん書-2

昨日2021/11/30に何とか駆け込みで11月中に読み終えた、鈴木宣弘氏著『農業消滅 農政の失敗が招く国家存亡の危機』(2021/7/15刊・平凡社新書)に大きなインパクトを受けました。 今回は、<勝手にしん・せん書>シリーズの2冊目に同書を取り上げます。 こ…

外資系半導体企業の国内進出に補助金は、経済安全保障に叶った政策か?

先月10月上旬、以下の記事を投稿した。◆ 半導体、産業のコメから産業と社会経済生活の心臓へ:2050年半導体自給自足国家実現へ(2021/10/4) その記事の最後に、当サイトが掲げる[国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題]における「産業資…

営農型太陽光発電が促す農業・食料政策、電力エネルギー政策の統融合

営農型太陽光発電とは、農地に支柱を立てその上に太陽光パネルを設置して発電し、固定価格買い取り制度(FIT)などでの売電収入を得、同時にパネルの下で農業を営み、収入を得る。すなわち営農と発電の副業・兼業システムと言えよう。台風などにも耐える強度…

バイオマス発電と林業復興のコラボで地域再生にも貢献:2050年国土・資源政策と森林・林業基本計画ー2

当サイトが提起している2050年国土・資源政策長期ビジョンの初めに<国土安全保障・維持総合管理>を位置付けています。 そこでの個別政策課題の一つとしている<林業復興>について、前回以下の記事で、国土保全やCO2吸収による脱炭素など多様な機能や効果…

国土保全、カーボンニュートラル対策等多機能に不可欠な林業復興:2050年国土・資源政策と森林・林業基本計画

森林の放置は、実は防災面だけの問題ではありません。 日本の森林が吸収するCO2は2014年度の5200万トンが直近のピークで、2019年度は約2割少ない4300万トンまで減少。 これは樹齢40年を過ぎて成長が落ち着くと、CO2を取り込む量は頭打ちになることが原因とさ…

進む人工光合成技術研究開発が、2050年水素社会実現を可能にする

人工光合成とは 植物の光合成をまねて、太陽光を使い水を水素と酸素に分解、つくった水素と二酸化炭素(CO2)を反応させて燃料や化学製品などをつくる。 この水素は製造時にCO2を排出しない「グリーン水素」で、化学製品の製造を通じてCO2も直接減らせる。 …

半導体、産業のコメから産業と社会経済生活の心臓へ:2050年半導体自給自足国家実現へ

過去半導体製造でトップを瞬間走っていた日本が、みじめなくらいにその地位を喪失し、輸入に頼らざるを得なくなって久しい。 今から復活を期すにしても、遅すぎると言われている。 しかし、もうそうは言ってはおれない状況と考えるべきだろう。 1980年代、日…