社会保障

公共貨幣が生みだす新しい国と社会とは:公共貨幣論から考える-18

最終章に来ましたが、そのタイトルにある「新国生み」という表現を未だにしっくりと受け止められない状態での整理・考察作業になります。公共貨幣を実現すべくたどる方法としての「新国生みイニシアティブ」。(この「イニシアティブ」という表現が「新国生…

拙論への出生率向上対策としてのベーシック・インカムご提案のYK氏への御礼と回答

5月に投稿した、柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う(政策効果の統計分析)』(2016/6/25刊・勁草書房)と『子育て支援と経済成長』(2017/2/28刊・朝日新書)の2冊を参考にしての「子育て支援論」シリーズ。その3回目の◆ 気になる出生率向上と子育て支…

過去何も生んでこなかったマスコミの少子化対策政府批判:2022年年間出生数80万人割れ警鐘の人口動態統計

6月3日に厚生労働省から、2021年の人口動態統計のまとめ(総覧)が公開されました。その中から、出生数・出生率に関する数値を抽出して、昨日当サイトに投稿したのが、以下の記事。 ◆ 2021年出生数81万人、出生率1.30。過去最低2005年1.26に迫る:2021年人…

子どもの貧困対策としての「児童手当」制度か?

基本的に、財政規律主義、税と社会保障の一体改革に従っての子育て支援策・少子化対策を、誠実に、突きつめて考察する柴田氏は、そのためには相当の財政出動が不可欠とみ、社会保障の拡充には経済成長が条件とする立場です。ですから、ベーシックインカムを…

EBPM書としての評価は?:柴田悠・山口慎太郎両氏の<子育て支援経済論>シリーズを比較・紹介

先に、当サイトで以下の書の紹介記事を投稿しています。◆ 山口慎太郎氏著『子育て支援の経済学』:勝手に新書-7(2022/3/25)◆ 柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う』『子育て支援と経済成長』:勝手に新書-8(2022/5/1) 前者の山口慎太郎氏の書は・『…

経済成長主義に基づく子育て支援政策の限界:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-4(総括)

日本を含め世界各国で多様・多面に展開されてきた「育休制度」や「保育改革」の実証分析や効果評価は、当然のように、一色に染められた結果を導き出してはおらず、却って、政策の選定・決定が難しいことを示すことになっています。それはあたかも、EMBPとは…

親にとって子育ては次世代への投資か?:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-2

「子育て支援は、次世代への投資」。これは決して、子どもを持つ、あるいは子どもを持ちたいと思う親の気持ち・心情・想いを表現したものではないでしょう。まあ、一部の封建的・家父長制的感覚をいまだに抱く親が、将来子どもが親の面倒をみるものと思って…

現金給付・育休制度で出生率は向上するか:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-1

今回からは、前回に続き、同類書である山口慎太郎氏『子育て支援の経済学』(2021/1/20刊・日本評論社)『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(2019/7/30刊・光文社新書)を用い、同様に<山口慎太郎氏「子育て支援論」…

子育て・保育の本質から考えるべき政治行政と財政政策:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-5(総括)

子育て政策の効果を前提としたために、経済政策としての子育て支援論になってしまった感が否めない本書。具体的な子育て政策課題については、解説書として発行された新書『子育て支援と経済成長』の<第5章 子育て支援の政策効果>に関連する記述を読み取る…

増税・財源確保の子育て支援政策のムリ筋:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-4

<第9章 政策効果の予測値>から これを受けて、第3章から第8章まで、個別政策に関する仮説・検証作業を経て、最後にそれら社会保障政策(=変数)が及ぼすとみられる効果を、具体的数値予測化したのが本章です。筆者は、社会保障政策と表現していますが…

柴田悠氏著『子育て支援は日本を救う』『子育て支援と経済成長』から考える子育て・少子化対策論-3

少子化対策への関心度の低さ 随分機械的で無機的な仮説検証作業とその結果、という印象を抱くのは、柴田氏自身が、出生数の減少・少子化対策を子育て支援の枠内に位置付けてはいないのでは、と思わせられるからです。 例えば、非婚化・晩婚化がもたらす出生…

保育サービス支出総額だけの統計論のムリ筋:子育て柴田悠氏「子育て支援論」から考える-2

今月初めに、投稿したブログ◆ 柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う』『子育て支援と経済成長』:勝手に新書-8(2022/5/1)で、柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う(政策効果の統計分析)』(2016/6/25刊・勁草書房)『子育て支援と経済成長』(2017/2/28…

ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-4

「生活福祉資金の特例貸付」とは この制度は2020年3月にスタートした、無子・保証人不要の貸付金制度で、元来あった「緊急小口資金」と「総合支援資金」の貸し付け条件を大幅に緩和。 社会福祉協議会(社協)職員が面談して収入や返済計画を確認していたも…

ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-3

健康保険の違いによる子どもの受診日数の違いと所得格差 健保には、大企業の社員などが入る組合健保、公務員などの共済組合、自営業者や非正規労働者らの市町村国保などの種別がある。ここでも、未就学児の受診日数に違いがあり、市町村国保の受診は2021年以…

鈴木亘氏による非常時対応可能既存社会保障制度改定提案:日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-2

3月上旬、日経<経済教室>欄で、<社会保障 次のビジョン>というテーマで、3人の学者による小論が連載されました。それぞれを順にその内容を取り上げ、当サイト提案の日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンションの必要性・有効性と結びつけて…

日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-1

中間層の形成、格差拡大の抑制、消費の下支え、そして経済の持続的成長と連なり、経済・財政・社会保障の一体化による分配と成長政策、と現内閣標榜の新しい資本主義の実現でそれが可能となります。しかし現実は、いわずもがな、です。ではその成長も可能と…

2020年3月~6月のベーシック・インカム初期考察論:2020年ベーシックインカム考察からベーシック・ペンション提案までのプロセス-1

先月、ベーシック・ペンションの2022年版提案を、<2050年日本独自のベーシックインカムJBPC完全実現に向けての2022年提案>シリーズとして、専門WEBサイト http://basicpension.jp で以下のようにまとめたところです。 <第1回>:ベーシック・ペンション…

2021年の出生数約84万人、死亡数約145万人、人口減少数初の60万人超:2021年人口動態統計速報値

2022年2月25日に厚労省が発表した2021年1年間の人口動態統計速報値。出生数から死亡数を差し引いた人口の増減数は、以下のとおりでした。出生数、死亡数とも新型コロナウィルス感染症の影響が大きいとしています。 1.出生数:84万2897人。2020年比2万9786…

WANを精神的基盤とする新しい女性主体政党・政治会派創設提案-2

女性主体の政党・政治会派。当然、女性に支持される政策を掲げ、その実現を目的とするわけですが、それはほとんどの男性にも支持されるものでしょう。その組織的基盤をどのように創るかは次回のテーマとして、その前に、どのような理念のもと、方針に基づき…

年金制度統合による社会保障システム改革

当サイトの管理者である「Ohno Haruo大野晴夫」が、2020年4月に開設した https://2050society.comその開設の事情・経緯についての記事◆ WEBサイト「2050 SOCIETY」2年前2020年4月開設の経緯(2022/2/20)を先日紹介した後、一昨日◆ 他サイト投稿記事が202…

8つの扶助、それぞれの解体・編み直し案

それでは、解体・再編対象課題とされた、8つの扶助がどうなるか、整理したものを確認ください。 1.「生活扶助」は、・高齢者・障害者への「国民年金制度」における「年金支援給付」・求職者への「求職者支援給付」を除いて、一般扶助による「生計扶助」を…

生活扶助の配分や条件を決めるべき「私たち」とは一体誰か、どのように決めるのかを問う

貧困解決において中心的な手段は所得保障である。日々の暮らしのお金が足りないのに、サポートや自立支援ばかり強調するのはいい加減にすべきだ。社会扶助は、貧困解決のために、もっと使えるように、社会保険や社会手当と組み合わせて、柔軟に配置したほう…

IT、DX、介護テック。呼び名が変わって介護現場の生産性は上がったか、省人化は実現したか

人口の多い「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者に到達し、介護ニーズの急増が想定される「2025年問題」。人手不足や施設不足に対する懸念が高まるなか、新興勢などが事業者の業務効率化を図るべく「介護テック」で現場を支える。 少し手を加えたが、こんな…

「生活保護基準」としての「生活扶助基準」とその改定方式の妥当性

結局、現在の生活保護制度における<生活扶助>基準は、生活保護基準を意味しているわけで、それが適切かどうか、定期的検証されに、改定が行われているわけです。 改定のための「検証」方式 検証は、「標準世帯」で行い、多様な世帯に当てはめるべく、年齢…

車椅子生活の特養入所者が、外来診療が必要な場合どうするか

一昨日1月23日の日曜日に、満100歳の義母が入所する特養から電話。 以前骨折し、手術をせず保存治療という何も特に施さない(一応)、自然治癒をめざす方法を選択し、車椅子生活になり要介護4と認定変更で、サ高住から特養に転所。 その骨折部位の近くでの…

生計扶助の解体・編み直し案のまとめ

この見出しのようなタイトルはついていないのですが、最後に位置づけた、実は最も基本となる<生活扶助>の解体・編み直しをこのように筆者は整理しています。1)年金支援給付(高齢者・障害者向け)2)求職者支援給付3)一般扶助による「生計維持給付」 …

【1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障】から:医療扶助・介護扶助解体と編み直し案

一つの前提は、「自立助長」という現制度に反映されている方針は、一応排除していること。 社会扶助は、あくまで生活最低限を下回るような状況を放置しないために仕掛けられた所得保障制度で、貧困のある状態を許容せず、貧困をなくすことに狙いを定め、それ…

運営・運用の二重原則と着目すべき課題

上記の構成で示された・申請保護/職権保護・世帯単位/個人単位(世帯分離)・ 基準表/必要即応・非現実的な「すべて現物給付」と、生活保護の概要を突き合わせると二重原則が並立・併用されていることがわかります。 筆者はこれを、概ね反対のやり方を併…

『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-2

生活保護は、社会保障の一手段である社会扶助制度。 社会保険のように社会保険料の納付(拠出)を条件とし、一定特定のリスクに対して現金やサービス給付を行うのではなく、多様な原因で生じた「今、貧困である」状態に対して、租税から給付を行なう手法。 …

『生活保護解体論』 を用いる目的及び方針

当サイト提案の日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金(以下、BP)が、究極的には、現状の生活保護制度のレベルの社会保障機能を上回る質・内容を持つものとし、さまざまな制度上の問題・課題を抱える生活保護制度を必要のない…