増税・財源確保の子育て支援政策のムリ筋:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-4

<第9章 政策効果の予測値>から これを受けて、第3章から第8章まで、個別政策に関する仮説・検証作業を経て、最後にそれら社会保障政策(=変数)が及ぼすとみられる効果を、具体的数値予測化したのが本章です。筆者は、社会保障政策と表現していますが…

柴田悠氏著『子育て支援は日本を救う』『子育て支援と経済成長』から考える子育て・少子化対策論-3

少子化対策への関心度の低さ 随分機械的で無機的な仮説検証作業とその結果、という印象を抱くのは、柴田氏自身が、出生数の減少・少子化対策を子育て支援の枠内に位置付けてはいないのでは、と思わせられるからです。 例えば、非婚化・晩婚化がもたらす出生…

保育サービス支出総額だけの統計論のムリ筋:子育て柴田悠氏「子育て支援論」から考える-2

今月初めに、投稿したブログ◆ 柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う』『子育て支援と経済成長』:勝手に新書-8(2022/5/1)で、柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う(政策効果の統計分析)』(2016/6/25刊・勁草書房)『子育て支援と経済成長』(2017/2/28…

ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-4

「生活福祉資金の特例貸付」とは この制度は2020年3月にスタートした、無子・保証人不要の貸付金制度で、元来あった「緊急小口資金」と「総合支援資金」の貸し付け条件を大幅に緩和。 社会福祉協議会(社協)職員が面談して収入や返済計画を確認していたも…

ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-3

健康保険の違いによる子どもの受診日数の違いと所得格差 健保には、大企業の社員などが入る組合健保、公務員などの共済組合、自営業者や非正規労働者らの市町村国保などの種別がある。ここでも、未就学児の受診日数に違いがあり、市町村国保の受診は2021年以…

生活保護世帯の子どもの進学率に地域格差:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-2

2019年、2020年の調査では、全世帯の中に占める生活保護世帯の進学率は ・上位の東京都や大阪府が両年度とも40%超・最下位は2019年度が山形県の16.7%、2020年度が長野県の11.1%。・首位と最下位の格差は、前者は2.8倍、後者が4.1倍に至った。・全世帯進学…

2022年2月生活保護受給164万世帯、現役世代も増加:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-1

2022/5/15付日経に「生活保護、現役世代も増加 コロナ禍に高水準続く 2月164万世帯、就労支援の強化急務」と題した記事が掲載されました。 これは、5月11日厚生労働省公表の、今年2月時点の生活保護受給世帯数・速報値に基づくもの。その世帯数は、前年同月…

自由主義・強権主義政治体制の分断化が促すエネルギー転換方法の変化

2022年に考える、日本の2050年エネルギー・資源社会への道筋-4 本文から分かるように、受け入れ基地の確保・新設による対策を含め、ロシア産天然ガスの代わりとなる供給先の確保も行うわけで、一方通行的に化石燃料使用期限を先延ばすという捉え方は正確で…

単純に、脱化石燃料・脱炭素化の困難性による原発回帰を持ち出すべきではないエネルギー不安対策

2022年に考える、日本の2050年エネルギー・資源社会への道筋-3 【2022年に考える、日本の2050年エネルギー・資源社会への道筋】シリーズを、後述する「ダニエル・ヤーギン著『新しい資源地図』から考える、2050年日本のエネルギー・資源戦略」シリー全4回…

2022年に考える、日本の2050年エネルギー・資源社会への道筋-2

高まるエネルギー不安-1:欧州よりロシアに影響は深刻 初めは、2022年4月22日掲載のニック・シッター中央ヨーロッパ大学教授の小論です。 ロシアのウクライナ侵攻は欧州のエネルギー市場に不可逆的な変化をもたらした。戦争がどんな結末になろうと、欧州…

ダニエル・ヤーギン著『新しい資源地図』から考える、2050年日本のエネルギー・資源戦略-4

予言・警告どおり、2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、プーチンの都合の良い思い込みとは裏腹に今なお、先が見通せない困難な状況が続いています。自由主義・民主主義国家群対強権・専横主義国家群との一層の分断と衝突の様相を、まさにエネル…

習近平・中国の野望、多様な背景にある中東のエネルギー戦略事情:ダニエル・ヤーギン著『新しい世界の資源地図』から考える、2050年日本のエネルギー・資源戦略-2

今回は2回目で、<第3部 中国の地図>と<第4部 中東の地図>を取り上げます。 ヤーギンがまず描く中国の地図は、2つの国で世界のGDPの約40%、軍事費の約50%を占める、非公式のグループ構成概念、G2。もちろんそれは、米国と中国のグローバル社会に…

米国の新しい地図と古い地図に戻そうとするプーチン・ロシア:ダニエル・ヤーギン著『新しい世界の資源地図』から考える、2050年日本のエネルギー・資源戦略-1

別サイトで◆ すべての国会議員が読むべき書。ダニエル・ヤーギン氏著『新しい世界の資源地図』:勝手に新書-9(2022/5/2)という記事で、ダニエル・ヤーギン氏著、黒輪篤嗣氏訳の『新しい世界の資源地図 エネルギー・気候変動・国家の衝突』(2022/2/10刊…

真のユニバーサル型セーフティネットとは:日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-3

3月上旬、日経<経済教室>欄で、「社会保障 次のビジョン」というテーマで、3人の学者による小論が連載されました。それぞれを順にその内容を取り上げ、当サイト提案の日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンションの必要性・有効性と結びつけて…

鈴木亘氏による非常時対応可能既存社会保障制度改定提案:日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-2

3月上旬、日経<経済教室>欄で、<社会保障 次のビジョン>というテーマで、3人の学者による小論が連載されました。それぞれを順にその内容を取り上げ、当サイト提案の日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンションの必要性・有効性と結びつけて…

山口慎太郎氏著『子育て支援の経済学』:勝手に新書-7

今月初め、https://2050society.com に ◆ 2021年の出生数約84万人、死亡数約145万人、人口減少数初の60万人超:2021年人口動態統計速報値(2022/3/2)と題した記事を投稿しました。少子高齢化社会の進行は、高齢化により減少する出生数を遥かに上回る死亡数…

『検証 政治改革 なぜ劣化を招いたのか』 構成

現時点で未読なのは、第9章以降、筆者の具体的な改革提案部分です。しかし、その第9章「新・政治改革に向けて」も、終章「まとめ」も、サブタイトルに「議論を」と呼びかける形で終わっています。 結局、政治行政、国会・選挙制度等の改革には、政党が議論…

再生エネ発電のムダ排除、緊急時地域間送電確保等のためにも送配電網の国有化を

送電網基盤は、国内事情限定的であり、いわば、政府のやる気しだいだ。方法は唯一つ。社会的共通資本である電力の送配電網事業の国営化である。現状ある施設は、国が2030年までに買い上げる形とし、不足する設備・システム等は、利用する電力各社の出資と国…

中央公論社「世界の名著」第15回配本『モンテーニュ』(昭和47年1967年20日初版)

モンテーニュ(1533-1592)ときたからには、長きにわたって書棚に積ん読のままの「世界の名著」にあった1冊。その引用文が、どこにあったか確かめてみようかと、何回かの引っ越しと、家の中での書棚の移動を経て一応無事に、なくならずにある同書を取り出し…

地域包括児童ケアセンターの設置と児童福祉司配置を:『ヤングケアラー』『子ども介護者』からの基本認識と課題・対策-3

ヤングケアラー学校調査の種類と調査情報 先述の【<ヤングケアラー問題を考える>シリーズ】<2.日本におけるヤングケアラー学校調査から>において組入れる予定の学校調査は、2冊で取り上げている1)南魚沼市(2015年):市内公立小中・特別支援学校26…

「あなたは生きてきたではないか。」絶食4日間経過:一語一会 -1

3月14日に微熱を感じ、翌日には、瞬間38度台に。先月2月下旬にコロナの3回目のワクチン接種を終えているので、コロナ感染ということは99%なし。翌々日の16日には、断続的かつ数か所の腹痛が始まり、その痛みにだるさを伴って熟睡できず。翌17日に、朝食…

日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-1

中間層の形成、格差拡大の抑制、消費の下支え、そして経済の持続的成長と連なり、経済・財政・社会保障の一体化による分配と成長政策、と現内閣標榜の新しい資本主義の実現でそれが可能となります。しかし現実は、いわずもがな、です。ではその成長も可能と…

小林美希氏3月8日「国際女性デー」現代ビジネス寄稿2小論から考える女性主体政党創設提案

過去何冊かの著書を入手して読んだことがあるジャーナリスト小林美希氏。一昨日3月8日の「国際女性デー」に、現代ビジネス | 講談社 (ismedia.jp)に前編・後編2つの記事を寄稿したことをFacebookに投稿していたので、読んでみました。 前編は、 3月8日は…

『ヤングケアラー』『子ども介護者』からの基本認識と課題・対策-2

澁谷智子氏著『ヤングケアラー―介護を担う子ども・若者の現実』(2018/5/25刊・中公新書)を発行から既に4年近く経っていますが、読み始めました。もう1冊、同じテーマの近著、濱島淑惠著『子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁』(2021/9/10刊・…

ヤングケアラーとは:『ヤングケアラー』『子ども介護者』からの基本認識と課題・対策-1

澁谷智子氏著『ヤングケアラー―介護を担う子ども・若者の現実』(2018/5/25刊・中公新書)を発行から既に4年近く経っていますが、読み始めました。この後、濱島淑恵氏著『子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁』(2021/9/10刊・角川新書)を続いて…

2020年6月~8月のベーシック・インカム多面的考察論:2020年ベーシックインカム考察からベーシック・ペンション提案までのプロセス-2

先月、ベーシック・ペンションの2022年版提案を、<2050年日本独自のベーシックインカムJBPC完全実現に向けての2022年提案>シリーズとして、専門WEBサイト http://basicpension.jp で以下のようにまとめたところです。<第1回>:ベーシック・ペンション法…

2020年3月~6月のベーシック・インカム初期考察論:2020年ベーシックインカム考察からベーシック・ペンション提案までのプロセス-1

先月、ベーシック・ペンションの2022年版提案を、<2050年日本独自のベーシックインカムJBPC完全実現に向けての2022年提案>シリーズとして、専門WEBサイト http://basicpension.jp で以下のようにまとめたところです。 <第1回>:ベーシック・ペンション…

エッセンシャル・ワークの本質と価値評価の困難さ

そこでの価値は、貨幣価値では表現尽くしきれないもの、ということになります。しかし、日本の政治で行われている介護職や保育職への賃金補填は、市場価値を意識する性質と、それから切り離して公的な価値に補正する性質を併せ持ちます。また比較する例とし…

2021年の出生数約84万人、死亡数約145万人、人口減少数初の60万人超:2021年人口動態統計速報値

2022年2月25日に厚労省が発表した2021年1年間の人口動態統計速報値。出生数から死亡数を差し引いた人口の増減数は、以下のとおりでした。出生数、死亡数とも新型コロナウィルス感染症の影響が大きいとしています。 1.出生数:84万2897人。2020年比2万9786…

WANへの投稿と「クオータ制を推進する会」活動と

「WAN 特定非営利活動法人ウィメンズアクションネットワーク」の会員に今年度からなっています。今年4月から新しい年度に入るのですが、入会の目的の一つとして、提案したいことがあり、今期中になんとか、と思っていたことを昨日やっと行うことができまし…