ベーシック・インカム

金融財政システム、社会経済システム改革との一体化が必要なCBDC導入:『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』とJBPC-4

本章で論じられたCBDC発行の壁は、JBPCの発行の壁と共通あるいは同一のものでしょうか。その根本は、既存の市中銀行の位置付け・存在意義を認め、温存する立場か、その改革を想定してCBDCを考え、実現をめざす立場かという異なる前提との関わっています。 JB…

CBDCで市中銀行は不要になる?

仮に仮想通貨(リブラ改め)ディエムが、グローバルに流通すると、膨大な額の現預金がディエムに交換され、市中銀行の預金が戻らなくなります。極端を言えば、市中銀行は要らなくなる。これと同様、中央銀行が自ら口座を開設し、CBDCを発行し、この口座で決…

CBDC中央銀行デジタル通貨の特徴と強みを知る:『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』とJBPC-2

CDBCの利用範囲の方式には、以下の2種類がある。1)小口専用:・1回の送金額に限度を設定するか、保有自体に限度額を設定する。・利用者は主に個人となり、企業の多額決済に利用できず、銀行預金の口座振替方式が用いられる。2)限度額なし:・企業間決…

<第1章 リブラが口火を切ったデジタル通貨>から

本章は以下のように構成されています。 第1章 リブラが口火を切ったデジタル通貨 1.世界通貨「リブラ」の構想が与えた衝撃 2.電子マネーではなく、仮想通貨だから重要 3.本当は日本にとっても大問題 4.プライバシーを求めるのか?管理社会を許容す…

日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金BPの専用デジタル通貨化を考えるシリーズ:『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』とJBPC-序

先日当サイト管理者のパーソナルWEBサイトの以下のブログで、野口悠紀雄氏著『CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃』(2021/11/15刊・新潮社)を紹介しました。◆ 野口悠紀雄氏著『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』:勝手にしん・せん書-3 (2021/12/12)…

野口悠紀雄氏著『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』:勝手にしん・せん書-3

昨日2021/12/11に何とか予定の期間内に読み終えた、野口悠紀雄氏著『CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃』(2021/11/15刊・新潮社)。 本書購入は、運営する日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金提案WEBサイト http://baiscpensi…

現在食料自給率38%、2035年の衝撃的予測と必要対策 :鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-1

このところのグローバリズム批判の軸にある行き過ぎた資本主義がもたらすさまざまな格差と分断。 いわゆる新自由主義の考え方と行動と一致する農業問題であるが、これが人の生活の基礎である食料と直結しているが故に、こうした弊害と切り離して長期的な視点…

公的年金・企業年金の限界突破は「共助から自助へ」ではなく「国助」による日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金で

今回の日経記事で扱うのは、公的年金制度ではなくて、加入は任意の企業年金についてである。 まずそのうちの一つ、確定給付年金(DB)について。 そこでは、受給者への支払総額が掛け金総額を上回る「取り崩し期」に入った企業が、2020年度に初めて5割に達し…

斎藤幸平氏のベーシックインカム批判・ベーシックサービス支持への反論

斎藤幸平氏のベーシックインカムへの単純な理解 この程度の認識で、ベーシックインカムへの疑問を呈しているのです。 なぜか、月額7万円で社会保障をすべて削るのがベーシックインカムと、「例えば」とはしていますが、緻密なマルクス論調査分析を行なった…

未だ明確な提案がないベーシックサービスを簡単に支持するという、新たな無責任

そもそも、ベーシック・サービスを提案している研究者も政党も、具体的にベーシック・サービスとはどういうものか、どういう制度・法律に基づき、なにを論じている財源とし、どの規模の財政支出を必要とし、どのように運営・管理するのか、提示・提案してい…

『クソったれ資本主義が倒れたあとのもうひとつの世界』に描かれたベーシックインカム

相当乱暴な流し読みで一応、最後のページまで到達したので、その中に描かれたベーシックインカム(らしきもの)について、簡潔に紹介したいと思います。 ベーシックインカム論でなく、基本的には、資本主義が崩壊した後の理想社会を描くSF仕立ての小説である…

日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金2022年案提案に向けて

ベーシック・ペンションの方針・方向性の確認 ・国民の基本的人権としての生きる権利・基本的な生活を送ることができる生活保障を目的とした社会政策の基軸としてのBP制度とし、その実現と利用により、国土・資源政策、経済政策の長期ビジョン・政策の実現と…

日本維新の会ベーシックインカム政策への懸念

立党以来の維新の会の政策及び活動について、結党プロセス、その後の大阪都構想をめぐる大阪府と大阪市の首長選と住民投票の弄びなど、正直なところ非常に独善的で、胡散臭さを感じていました。 ベーシックインカムについては、以前は、先日の4月の記事で示…

起業・スタートアップを喚起し、起業時・起業後の不安を軽減するベーシック・ペンションとは

本稿は、「起業(スタートアップ)」の増加件数やその内容、地域状況などを考えるのでもなく、「起業」を起こさせる基盤として、あるいは「起業」直後の不安への対策として、日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金が、大いに…

ベーシックインカム書から考えるBI論シリーズ-6

方法や内容には違いがありますが、参考になる考え方も含むことから同氏のBI論は一定の評価をしており、ベーシック・ペンションを提案する者として2022年版の提案を行うべく、その近著 『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる 』 を再確認・再評価…

井上智洋氏著『現金給付の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える-5

マネーストックとマネタリーベースの違いを知っておく もう一つ経済学の基礎知識を。 お金については以下の2種類を理解しておきたい。1)マネーストック:企業や個人など普通の民間経済主体が使うお金で、「現金」と「預金」から成り立つ2)マネタリーベ…

衆議院大幅議席増で改憲に前のめり、で見る日本維新の会の本質・本性

公示期間中に配布された新聞折込み広告では、案の定、こうした訴えを前面に出し、格差解消や無年金問題対策、安心して挑戦できる社会、など口当たりの良い、支持してみようと思わせる表現を盛り込んでいた。そして当然ことながら、「憲法改正」「改憲」政策…

3段階に分けて導入する二階建てベーシックインカム:井上智洋氏著『現金給付の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える-4

「貧困の罠」や「給付額の崖」問題に対して、無条件にすべての人々にBIを支給する場合、なぜ富裕層にも支給するのかという批判が一般的になされます。それに対しては、BI支給後の富裕層への所得税への追加課税措置で、国民所得全体の再分配を行うことで対応…

「自助・共助・公助」理念と相反するベーシックインカム:井上智洋氏著『現金給付の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える-3

<ベーシックインカムはネオリベ的か? >と題した項で、社会保障制度との関連でのBIの分類として、以下を挙げています。 1)代替型(ネオリベ型):既存の社会保障制度を全廃2)中間型(取捨選択型):社会保障制度のある部分は残して、それ以外は廃止す…

衆議院選挙とベーシックインカムとバラマキ政策・公約

一過性の「現金給付」まさにバラマキは、問題の抜本的解決を先送りするポピュリズム的無責任政策 その多くは、すべて1回限りか、一定の条件を達成するまでの時限的政策。昨年の<特別定額給付金>が、ベーシックインカムの一つの在り方・事例として受け止め…

コロナ禍ゆえ、長引く不況ゆえだけのためのベーシックインカムではない:井上智洋氏著『現金給付の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える

本書のタイトルに<経済学>と入っているように、井上BI論は、経済学者である同氏による経済面からのベーシックインカム提案論であることが前提であること。 これが最大の特徴です。 それは、サブタイトルに「反緊縮で日本はよみがえる」と入れていることで…

維新ベーシックインカムと国民民主日本型ベーシックインカムの大きな違い

一昨日、ベーシックインカムを多面的に考察し、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金を提案する、ベーシックベーシックインカム専用サイト http://basicpension.jp において◆ 維新の会ベーシックインカム案は全政党中ベストの…

◆ ルトガー・ブレグマン『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』(2017年刊):<ベーシックインカム書から考えるBI論>記事シリーズ-3 (ohnoharuo.com) ◆ 『ベーシックインカムを問いなおす その現実と可能性』(2019年刊)よ…

維新の会ベーシックインカム案は全政党中ベストの社会保障制度改革案

先月9月23日に更新した「日本大改革プラン 経済成長と格差解消を実現するグレートリセット」において、まだまだ十分ではありませんが、現段階では、他党と社会保障制度改革における圧倒的な違いと真剣度を示した、日本で初めての具体的で本格的なベーシック…

ohnoharuo.com の先週記事リスト

10月12日(火)大した覚悟も方法論も持たずに政策発表し前言を即取り消す岸田首相。野党はそれを批判するといういつもの景色で始まった国会、すぐ解散10月13日(水)UAE2050年温暖化ガス排出ゼロ、EU北極圏化石燃料開発禁止:環境エネルギーを巡る多様な動き…

『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考えるー1

種々の井上氏の論述に関しては、他のどの研究者のBI論よりも、身近なものとして捉えています。 但し、当サイトが提案する<日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金>とは、大きく異なり、多くの違いや問題点が厳として存在します…

20年前よりも所得税率引き上げ56%で月額8万円の変わらぬ小沢BI論の残念:小沢修司氏2002年著『ベーシック・インカム構想の新地平』から-6

2002年書時代には京都府立大学教授だったのですが、週刊エコノミスト執筆欄には、同大学名誉教授となっていました。そこでの提案の違いは、給与所得控除を残したことから、所得税50%のままでは、必要財源に満たないため、税率を56%に引き上げざるを得なく…

月額8万円所得税率50%で問題多き小沢BI構想に落胆:小沢修司氏2002年著『ベーシック・インカム構想の新地平』から-5

給付額をいくらとするかに関して、生活保護制度において、年齢、居住地、世帯構成の3つの要素によって決められる<生活扶助>額を最も現実に適した額に近いものとし、そこから一人月額8万円(年額96万円)を仮設定します。 その方法・プロセスに関する要点…

ベーシックインカム専門サイト basicpesion.jp 2021年1月1日開設来の記事アクセス数ランキング・ベスト10

今年2021年1月1日に開設した、私が提案している日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション(生活基礎年金)の実現をめざすとともに、さまざまなベーシックインカムに関する情報や提案、問題点などを取り上げ、理解と改善・実現等を目標とする、…

ワークフェアとBIの一体化のための「労働と消費を含めた生活全般の人間化」の意味不明:小沢修司氏2002年著『ベーシック・インカム構想の新地平』から-4

ワ ークフェアとBIの一体化のための「労働と生活を労働市場(賃労働)に依存することが可能な状況に、今も今後もあるのかどうか、果たして雇用の創出は十分に行えるのか。という課題、無償労働を労働と捉えるかや、自発的失業をどう捉えるか、結果的に女性が…