忘れられていた異次元金融緩和政策に基づく2%物価上昇目標が、5月、いとも簡単に実現

ウクライナ侵攻がそうした現実に拍車をかけ、日本においては、あの、長く掛け声だけであり、その責任論も有耶無耶になっていた物価上昇率2%という目標が、いとも簡単に実現してしまいました。
基本的には、各種資源と原料・原材料、製品・商品の需要と供給の著しいギャップが招いたことですが、これに円安による輸入品価格の上昇、過剰な通貨の供給、それに米国で顕著に見られる賃金上昇などが相まって物価を押し上げるという、教科書通りの物価ストーリーを眺めているわけです。

 

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ベーシック・ペンション理論付けに少しは役立つか?渡辺 努氏著『物価とはなにか』:勝手に新選書ー16 (ohnoharuo.com)

経済成長主義に基づく子育て支援政策の限界:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-4(総括)

 

日本を含め世界各国で多様・多面に展開されてきた「育休制度」や「保育改革」の実証分析や効果評価は、当然のように、一色に染められた結果を導き出してはおらず、却って、政策の選定・決定が難しいことを示すことになっています。
それはあたかも、EMBPとは、多様な結果を想定することが必要であることをエビデンス化することを意味する皮肉を含むものではないかと感じるのです。
いや、実証分析とは、本来そういうもの、そういうことになるものと私は思っています。
まさに多様性・複雑性を、人間の、社会の、国家の行動が包摂しているものであると。

 

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経済成長主義に基づく子育て支援政策の限界:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-4(総括) – 2050 SOCIETY

子育て支援は女性活躍が目的なのか?:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-3

 

長すぎる育休は誰のため、何のため?3年抱っこし放題のいい加減さ(第9章から)

本章の冒頭、2013年当時の首相が「3年間抱っこし放題」と馬鹿なことをほざいて批判を浴びた件を持ち出して、<長すぎる育休は逆効果?>というテーマの露払いとしました。
その「育休制度」の期間をテーマにして実証分析・効果評価に取り組んだのが本章です。

 

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子育て支援は女性活躍が目的なのか?:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-3 – 2050 SOCIETY

親にとって子育ては次世代への投資か?:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-2

 

子育て支援は、次世代への投資」。
これは決して、子どもを持つ、あるいは子どもを持ちたいと思う親の気持ち・心情・想いを表現したものではないでしょう。
まあ、一部の封建的・家父長制的感覚をいまだに抱く親が、将来子どもが親の面倒をみるものと思っている場合は、そう表現して支障ないかもしれませんが。

第2部は以下の3つの章で構成し、育児休業(育休)制度や保育政策が子どもの発達をどのように育むかを考えるとしています。
第5章 育休制度は子どもを伸ばす?
・第6章 幼児教育にはどんな効果が?
第7章 保育園は子も親も育てる?
以下、順に見ていきます。

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親にとって子育ては次世代への投資か?:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-2 – 2050 SOCIETY

 



現金給付・育休制度で出生率は向上するか:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-1

 

今回からは、前回に続き、同類書である山口慎太郎氏『子育て支援の経済学』(2021/1/20刊・日本評論社)『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(2019/7/30刊・光文社新書
を用い、同様に<山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える>シリーズとして、4回にわたって取り組みます。

 

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子育て支援で出生率は向上し、少子化政策に寄与するか:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-1 – 2050 SOCIETY

子育て・保育の本質から考えるべき政治行政と財政政策:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-5(総括)

 

子育て政策の効果を前提としたために、経済政策としての子育て支援論になってしまった感が否めない本書。
具体的な子育て政策課題については、解説書として発行された新書『子育て支援と経済成長』の<第5章 子育て支援の政策効果>に関連する記述を読み取ることができます。
以下が、その構成ですが、結局子育て支援策の軸になるのは、保育施設の拡充と、不足する保育職人材の確保、すなわち保育の量と質を満たすための保育サービスの拡充です。
そこに、子育て支援の産休育休制度、雇用保険などによる所得保障制度が並行して欠かせない制度になるわけです。

 

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子育て・保育の本質から考えるべき政治行政と財政政策:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-5(総括) – 2050 SOCIETY

増税・財源確保の子育て支援政策のムリ筋:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-4

 

<第9章 政策効果の予測値>から

これを受けて、第3章から第8章まで、個別政策に関する仮説・検証作業を経て、最後にそれら社会保障政策(=変数)が及ぼすとみられる効果を、具体的数値予測化したのが本章です。
筆者は、社会保障政策と表現していますが、私には、経済政策の方に目的・目標がシフトした論述のように読み取れるのですが。
また、当然ですが、この計算で用いる統計方式や係数には、種々の条件が付されており、私などにはチンプンカンプン。
そこで思い切り集約して紹介します。

 

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増税・財源確保の子育て支援政策のムリ筋:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-4 – 2050 SOCIETY