経済

外資系半導体企業の国内進出に補助金は、経済安全保障に叶った政策か?

先月10月上旬、以下の記事を投稿した。◆ 半導体、産業のコメから産業と社会経済生活の心臓へ:2050年半導体自給自足国家実現へ(2021/10/4) その記事の最後に、当サイトが掲げる[国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題]における「産業資…

GDPや経済学者を信じるな!?:リトガー・ブレグマンの『隷属なき道』ー5

本書の中で、最も私が評価したい章が、この章です。 現在のベーシックインカム論において、その支給総額を考える時、インフレを懸念する議論が比較的重要になっています。 その総額が、GDPのどの程度の比率を占めるかが問題とされているのです。 私も、ベー…

岩田規久男氏による「21世紀の日本経済の課題」:当サイト2050年長期社会経済政策比較

初めに岩田氏は、現実の格差拡大は、ジニ係数では説明できない問題に起因するとし、特に、非正規社員の大幅増加に象徴される雇用の二極化がもたらしたとします。 それを辿ると、1990年代以降の日銀の失策が招いた、ディスインフレを経由してのデフレ化及びそ…

脱炭素、グリーントランスフォーメーション(GX=緑転)4つの課題

緑のルールのスタンダード策定の主導権は、既にEUにあることは動かしがたい事実。 日本がそこに一定のプレゼンスを得るには、今後の運用とスタンダードの見直し・修正に、公平な立場で関わり貢献すること、と認識し、行動することが望ましいと思います。 国…

経済政策 2050年長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題

1.自給自足経済政策 (基本方針) コロナパンデミックで経験した物流・人流の停止等の経験、また国家間の力学的な問題等から想定すべき、経済の安全保障ニーズに基づき、まずその基本である国内で還流・循環する自給自足経済の確立を目指し、確実に実現し…

ベーシック・ペンション導入によるインフレリスク対策-1:ベーシックインカム現実的実現法考察-5

先に種々のインフレ発生要因を見ましたが、実際のインフレ及びハイパーインフレは、なにか一つだけの単独要因で発生・進行するものではなく、複数の要素・要因が関連関係し、複合的に伝搬・拡大・継続するものと考えます。 そこで、その要因とされるリスクの…

当サイト2050society.com の2021年下期カテゴリー変更:コロナ禍で構築すべき国家ビジョンと長期政治行政改革計画-2

山積する政治課題は、東京オリンピック・パラリンピックで何かが改善・解決されるものではまったくあり得ないことは自明。 その異常な祭り以前に積み重ねられてきた、劣化した政治行政がもたらしてきた悪政やさまざまな社会問題は、その祭りの間も、コロナ禍…

ベーシックインカムでなくベーシックサービスで人を救えるか:金子勝氏著『人を救えない国』より-2

社会的排除の理由がさまざまなのに、所得だけに注目して一律に現金を給付しても貧困がなくならないことはいうまでもない。 それゆえ、その人の「ニーズ(必要)」に合わせて問題を解決するためには、生活圏である地域において当事者に寄り添う対人社会サービ…

見えない分散革命ニューディール実現の政治的シナリオ:金子勝氏著『人を救えない国』より

冒頭、金子氏は、新型コロナウイルスの大流行がこれまでの産業や社会システムに大きな影響を与えていくとし、その大きな変化の底流として、今、産業や技術の大転換期にあることを提示。 その中で、以下の3つの技術が軸になっていることを強調します。1)歴…

日本独自のベーシック・ペンションを社会的共通資本のモデルに:社会的共通資本とベーシック・インカム-2

前回◆ 社会的共通資本とは:社会的共通資本とベーシック・インカム-1(2021/6/8)で、宇野弘文氏(故人)が提起した『社会的共通資本』とはどういうものか、どういう考え方で構成・構築しているものかを確認しました。 そこでは、以下の3種類に社会的公共…

社会的共通資本とは:社会的共通資本とベーシック・インカム-1

宇野弘文氏が提起する「社会的共通資本」の定義と特徴について、以下に抽出しました。 1)一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にする…

格差拡大の暴走を制御できない資本主義:『いまこそ「社会主義」 』から考える政治経済社会システム-1

私が、右翼・保守が夢想する、公的権力主義と新自由主義とが合体した国家共同体に与しないのは、当然です。と同時に、平等の名のもとに個々人を収めさせるコミュニズム、社会主義共同体にも、その身を委ねる気にはなりません。的場氏はこう言います。 かつて…

知っていましたか民間銀行がお金をただで創る特権を持っていることを:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-1

そもそも銀行には、お金を創る特権があると聞けば、「なぜだ!?」と思うのが自然・当然。そんなことは露知らず、ほとんどの人は、銀行をの日常生活での利用や、銀行で働く人が、恵まれた給与を得ていることに羨ましくは思いつつも、さしたる疑問も抱かずに…

脱成長コミュニズムというユートピアは実現可能か:『人新世の「資本論」 』が描く気候変動・環境危機と政治と経済-4

既に25万部が販売されたという『人新世の「資本論』。 最後は、ほとんど、情緒・情感に訴える表現で終わることになった感が強い新マルクス論。マルクスの復権・復活を期しても、過去の歴史におけるコミュニズムの呼びかけとさほど変わらない感覚としか受け止…

資本主義と左派加速主義批判の後に来る脱成長コミュニズム:『人新世の「資本論」 』が描く気候変動・環境危機と政治と経済-3

『人新世の「資本論」 』(斉藤幸平氏著:2020/9/22刊)に絞ってのシリーズを始めています。今回の3回目は、第5章<加速主義という現実逃避>、第6章<欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム>を対象として、既存の左派批判と真のターゲットである資本主義大…

経済重視の左翼対脱経済のコミュニズム:資本主義をめぐるこれからの政治と経済

『資本主義から脱却せよ』では、資本主義のダイナミズムを加速させることで、その極限において資本主義からの脱出を図ろうという思想、「加速主義」を提起しています。正直なところ、これだけでは、その意味はよく分かりません。AI社会の進化により「脱労働…

資本主義、資本論、社会主義から考えるコロナ後の日本の政治・経済・社会

この10日間に、以下の3冊の新刊新書を斜め読みしました。順に ・『資本主義から脱却せよ~貨幣を人びとの手に取り戻す~』(松尾匡・井上智洋・高橋真矢氏共著::2021/3/30刊)・『人新世の「資本論」 』(斉藤幸平氏著:2020/9/22刊)・『いまこそ「社会主…

21世紀日本社会構築論(序)ー グローバルスタンダード国家モデル創造をめざして

私自身は、失われた○○年という表現は好まない。多くの社会問題が発生し、格差も伴って拡大してきたことは間違いないが、何もかもが失われたわけではないからだ。多様性を認めるべきというスローガンの認知と共に、成長してきた分野もある。 しかし、失われた…

ファストリは日本国内にも生産拠点を

ミャンマーにおける国軍のクーデターによる混乱の収拾に目処が立っていない。連日、国軍による民衆弾圧と死傷者の増加が報じられている。その影響の一つとして、ファーストリテーリングの子会社GUのミャンマーの5つの取引工場が生産停止に追い込まれ、内2つ…

MMT現代貨幣理論とは:ベーシックインカムの論拠としての経済学説を知る

MMTの最大の特徴は、 1.貨幣の起源や制度に焦点を当て、管理通貨制度の下で政府が独自に法 定通貨を発行している国家を前提としていること。 2.政府に通貨発行権があれば、政府の意思に基づき通貨発行による支出 が可能であり、財源のための徴税は必要な…

ミルトン・フリードマンの「負の所得税」論とベーシックインカム

ベーシックインカムの思想に新たな息吹を吹き込んだ、新自由主義の総帥、米国経済学者ミルトン・フリードマン(1912~2006年)が、1962年の著『資本主義と自由(Capitalism and Freedom)』で、「負の所得税」を提案し、公共的な議論の場に持ち出したとされ…

MMTに基づくベーシックインカム反対理由:歯止めが効かなくなるヘリコプター・マネーの政治的リスク、グローバル社会リスク

MMTベースBI論の共通の欠点・課題 経済理論ベースですから、インフレリスクの有無・程度を主たる課題としており、長引く不況下における、緩やかなインフレ期待の日本の長期的金融緩和政策が、一向に機能していないことを、BIによる膨大な通貨発行・供給の論…

今からでも遅くない、半導体国内自給自足体制構築を:コロナを契機とした長期社会経済システム構築-1

TSMCとは、コロナで世界的に供給が逼迫している半導体の台湾のメーカー。欧・米・日からのTSMC詣でが報じられるなかでの今回の報道。本音では、日本の半導体メーカーの存在感のないことが歯がゆいところだが、今後の展開を考えると、中・韓のシェアの拡大抑…